IFERROR関数は、数式がエラーになったときに、あらかじめ指定した別の値を返すための関数です。たとえば、除算エラー(#DIV/0!)や検索エラー(#N/A)など、エラーが発生し得る数式をそのまま表示すると、見栄えが悪くなったり、集計が止まったりすることがあります。
ここではそのIFERROR関数について解説します。
「IFERROR」基本構文
=IFERROR(数式, エラー時の値)
例
=IFERROR(A1/B1, "エラー")
この場合、B1が0で割り算ができないときは "エラー" と表示されます。
IFERROR関数の基本的な使い方
① 数式の中に組み込む基本例
=IFERROR(C2/D2, "計算できません")
② 0で割るエラー(#DIV/0!)の回避
=IFERROR(売上/件数, 0)
件数が0の場合でも、0を表示して処理を継続できます。
③ VLOOKUPで値が見つからないとき
=IFERROR(VLOOKUP(A2, 商品一覧!A:B, 2, FALSE), "該当なし")
VLOOKUP関数の詳細はこちら
IF関数との違いと組み合わせ方
IFとIFERRORの違い
| 関数名 | 主な目的 | 特徴 |
| IF | 条件による分岐処理 | 条件がTrue/Falseで処理分岐 |
| IFERROR | エラー処理 | 数式のエラーを検知して処理 |
組み合わせた例
=IF(A1="", "", IFERROR(B1/C1, "エラー"))
→ 空白を除外しつつ、エラーを回避
4. 実務でよく使うシーンとサンプル
以下に、実務でよくあるIFERRORの使用例を表にまとめます。
| シーン例 | 数式 | 説明 |
| 月別売上の平均 | 0 | 件数が0でも集計を続ける |
| 商品コード検索 | 該当なし | VLOOKUPでエラーが出るのを防止 |
| 勤務時間の集計 | 時間が未入力の場合は空白表示 | |
| 会計帳簿で金額計算 | 0 | 数量が空白でも0円表示で安全 |
5. IFERRORを使うメリットと注意点
● メリット
- エラーによる集計停止を防げる
- ユーザーにわかりやすい出力ができる(例:「該当なし」など)
- 業務資料の見栄えを整えられる
● 注意点
- エラーの原因を隠してしまう危険性がある
→ デバッグ時は一時的にIFERRORを外して原因確認を
6. 他のエラー処理関数との比較
| 関数 | 説明 | 対応エラー |
| IFERROR | エラーなら代替値を返す | すべてのエラー |
| IFNA | #N/Aエラーだけに対応 | 検索系の処理に特化 |
| ISERROR | エラーかどうかを判定 | 論理値(TRUE/FALSE)を返す |
| ISERR | #N/A以外のエラーに対応 | 柔軟な処理が可能 |
● IFERROR vs IFNA の例
=IFERROR(VLOOKUP(A2, 商品一覧!A:B, 2, FALSE), "エラー")
=IFNA(VLOOKUP(A2, 商品一覧!A:B, 2, FALSE), "該当なし")
7. 関数の応用テクニック
● ネスト構造での活用
=IF(A1<>"", IFERROR(B1/C1, 0), "")
● 配列数式での活用(例:平均除外)
=AVERAGE(IFERROR(データ範囲, ""))
● FILTER関数との組み合わせ(Office365)
=IFERROR(FILTER(A2:A100, B2:B100="東京"), "該当データなし")
IFERRORはExcelにおける「エラー処理の必需品」 であり、集計や検索など、実務で多用される関数との相性抜群でエラーによる混乱を未然に防ぎ、データの信頼性と見た目を改善できます。
ただし、本来のエラーの原因を確認できなくなることもあるため、分析時には注意して使いましょう。
