「端数を切り上げたい」「小数点以下を切り捨てて計算したい」──
Excelで日々の業務をしていると、そんな場面によく出会いますよね。
そんなときに便利なのが、ROUNDUP(切り上げ)関数とROUNDDOWN(切り捨て)関数です。
この記事では、これらの関数の基本的な使い方から、実務での活用例、ROUNDやCEILING/FLOORとの違い、応用テクニックまでをわかりやすく解説します。
1. はじめに:ROUNDUP/ROUNDDOWN関数とは何か?
ROUNDUP関数は、指定した桁数で切り上げを行い、
ROUNDDOWN関数は、指定した桁数で切り捨てを行うための関数です。
どちらも 四捨五入とは違い、常に一方向に丸める という特徴があります。
たとえば、請求金額を100円単位に切り上げて請求したい、重量を0.1kg単位で切り捨てて在庫計上したい、など、実務に即した計算処理で非常によく使われます。
2. 基本構文と引数の意味
ROUNDUP関数
=ROUNDUP(数値, 桁数)
ROUNDDOWN関数
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
| 引数 | 説明 |
| 数値 | 丸めたい対象の数値またはセル参照 |
| 桁数 | 丸めたい桁数(下記に詳述) |
桁数の指定ルール
| 桁数 | 丸める位置の意味 | 例(1234.567) |
| 2 | 小数第2位 | 1234.57(切り上げ)/1234.56(切り捨て) |
| 0 | 整数(小数点以下なし) | 1235 / 1234 |
| -1 | 10の位で丸める | 1240 / 1230 |
| -2 | 100の位で丸める | 1300 / 1200 |
3. ROUNDUP/ROUNDDOWNの使い方:基本パターン
● 小数点第2位で切り上げ/切り捨て
=ROUNDUP(3.1415, 2) → 3.15
=ROUNDDOWN(3.1415, 2) → 3.14
● 整数単位での切り上げ/切り捨て
=ROUNDUP(98.1, 0) → 99
=ROUNDDOWN(98.9, 0) → 98
● 10単位・100単位での丸め処理
=ROUNDUP(1264, -1) → 1270
=ROUNDDOWN(1264, -2) → 1200
4. どんな時に使うか?活用シーン
✅ 税金や送料の処理(切り上げ)
- 1円未満を切り上げて請求する
- 500g単位での送料 → 重量を切り上げ
✅ 割引・支払処理での調整(切り捨て)
- 割引額は1円未満を切り捨て
- ポイント計算などで端数処理
✅ 在庫・ロット管理
- 商品の数量を箱単位に切り上げ
- 最低出荷単位での換算
✅ 不要な小数を除外
- 見積書などで「見た目を整えた」表示をしたい場合
5. 実践サンプル:ROUNDUP/ROUNDDOWNの使いどころ
📌 商品価格に対して「100円単位で切り上げ」
=ROUNDUP(1530, -2) → 結果:1600
📌 例2:出荷重量を0.5kg単位で切り捨て
=ROUNDDOWN(2.68/0.5, 0)*0.5 → 結果:2.5
📌 例3:利益率を小数第2位で切り上げて表示
=ROUNDUP(C2/B2, 2)
📌 例4:テストの点数を10点単位に切り上げて評価
=ROUNDUP(A2, -1)
6. よくあるミスとその対処法
| ミス・エラー | 原因と対処 |
| ROUND関数と混同する | ROUNDは四捨五入。ROUNDUP/DOWNは常に一定方向。 |
| 桁数の符号を誤解 | 負の数で「10の位・100の位」を丸められると知らないケースが多い |
| 結果が小数で表示される | 桁数やセルの表示形式を確認(必要に応じて桁数を0にする) |
| 文字列を対象にしている | 数値であることを確認(”123″ は文字列で、数式エラーになる) |
7. 他の関数との組み合わせ技
✅ IF関数と組み合わせて条件付き丸め
=IF(A2>1000, ROUNDUP(A2, -2), A2)
→ 1000円以上の金額だけ100円単位で切り上げ
✅ ROUND関数との使い分け
| 関数 | 動作 |
| ROUND | 四捨五入 |
| ROUNDUP | 常に切り上げ |
| ROUNDDOWN | 常に切り捨て |
✅ CEILING/FLOORとの違いと比較
| 関数 | 説明 |
| ROUNDUP | 指定桁数で切り上げ |
| CEILING | 指定倍数で切り上げ |
| ROUNDDOWN | 指定桁数で切り捨て |
| FLOOR | 指定倍数で切り捨て |
✅ INT/MODと組み合わせて端数調整
例:10の倍数に切り下げ
=A2-MOD(A2, 10)
8. 応用テクニック:実務で使える裏ワザ的活用
🔸 分単位の切り上げ(例:15分単位に)
=CEILING(A2, "0:15")
🔸 販売価格の“見栄え調整”
=ROUNDUP(商品原価*1.3, -1)
→ 10円単位で価格設定
🔸 表示形式と組み合わせて整える
=TEXT(ROUNDUP(A2, 0), "#,##0") & " 円"
9. まとめ:ROUNDUP/ROUNDDOWNで精密かつ柔軟な数値処理を
ROUNDUPとROUNDDOWN関数は、一方向への丸め処理が必要なときに最適な関数です。特に、金額処理・在庫計算・評価変換など実務に密接に関わる分野でよく使われます。
- 四捨五入では足りない場面に対応できる
- 負の桁数を使えば10円単位・100円単位の処理も簡単
- IFやCEILINGなどと組み合わせることで、より高度な制御も可能
数値の「見せ方」「計算ロジック」を整えるうえで、切り上げ/切り捨てのコントロールは必須スキル。
ぜひこの2つの関数をしっかり習得し、業務に役立ててください。
